私が大好きで呼んでいる宮部みゆき先生の江戸時代系小説の中に、初ものがたりという本があります。
江戸といえば鰹や白魚など、初物を「粋」としてよく食べていた時代、夜な夜な美味しい食べ物を出してくれる屋台の正体不明のおやっさんと、十手持ちの交流を交えた物語なのですが、その中で、寒い冬の夜に屋台のおやっさんが「身体が温まります」と出してくれたのが「小田巻蒸し」。
小説内では、茶碗蒸しの中にうどんを入れたもの……と簡単に書かれていたのですが、もう、気になって気になって……。
というわけで、色々調べて、小田巻蒸しを作ってみることにしました。
小田巻蒸しとは?
そもそも、小田巻蒸しは江戸時代、茶碗蒸しが長崎から発祥し大阪に流れ着いた辺りで、うどん屋さんが「おっし、我々だって料理屋と肩並べたるで」と作ったとされるもので、大阪では正月のめでたい日なんかに食べるものとされていた……そうです。
ざっとネットで調べただけなので、真偽のほどはわかりませんが、少なくともずっと関東住まいの私や旦那はこの存在を知らなかったので、やっぱり関西地方の食べ物なのかもしれません。
小田巻蒸しの作り方
というわけで、小田巻蒸しを作ってみましょう。
材料
- 卵
- うどん
- カニカマ
- 鶏もも肉(我が家は筋肉バカなので胸肉を使用)
- 調理酒
- オクラ
- 鰹だしの素
- 白だし
- 醤油
茶碗蒸し+うどんという感じで材料を揃えればOK。
茶碗蒸しに合えば、なんでも大丈夫なので、私は近所のスーパーで手に入りやすい、身近な素材で作ってみました。
作り方
①鶏もも肉を一口大に切る。
②切った鶏肉に調理酒と醤油をからめ、軽く下味をつける。
③どんぶりに入れたうどんに白だしをかけ、ほぐして軽く下味をつける。
この「材料に下味をつける」というのが重要なポイントで、茶碗蒸しの中にうどんを入れるため、汁気があまりなく、味がうどんに絡まりません。
なので、ここでしっかりと下味をつけると、寝ぼけた味にならずに済みます。
④卵をほぐし、水・鰹だしの素・少々の白だしを入れて混ぜる。
水の分量は卵1つにつき100ccとして、卵を3つ使ったら300ccくらいを入れると、丁度よい水加減かと思います。
今回は、鰹だしの素を使用しましたが、アゴだしでも、昆布だしでも何でも大丈夫だと思います。
こだわる方は、規定量の水で出汁を作ってもいいかと思います。
私は面倒なので……。
あと、素材に下味を付けているため、白だしを入れすぎるとしょっぱくなるので、ほんとうに少量入れるくらいで止めておきましょう。
⑤③のうどんの中に、④のダシ入り溶き卵を流し込む。
写真ではうどんが出ちゃっていますが、本当ならうどんが出ないくらいたっぷり卵入れた方が良いです。
⑥半分に切ったオクラ、裂いたカニカマ下味を付けた②の鶏肉をどんぶりの中にいれていきます。
⑦丼がすっぽり入るくらいのお鍋に2㎝ほど水を張り、その中にどんぶりを入れて水を沸騰させます。
もちろん、蒸し器があるなら使った方がよいと思うのですが、こんなどんぶりまるまる入るようなものもなく、そもそも蒸し器がないという場合でも、この方法なら蒸し上がります。
⑧蓋をして弱火で20分間。蒸したら完成。
因みに、どんぶりギリギリのサイズのお鍋を使用する場合、蒸し上がった後に「どんぶりが取り出せない」という現実に直面するかもしれません。
私は直面しました。
そんな場合は、慌てず、騒がず、どんぶりがつまめる温度まで下がるまで待つか、厚手のタオルが、卵まみれになる覚悟で手をぶっ込むかを選択しましょう。
適当な人間なので、あまり気にしていません。
小田巻蒸しのお味は……?
出来上がった小田巻蒸しはこちら。
蒸し器も使わずできるかと心配していたのですが、以外と良い感じに。
食べる直前にネギを散らしても良いでしょう。
卵に「す」が入りまくっていますが、私は気にもしません。
気になる方は、溶き卵をザルでこしたり、できる限りの弱火で蒸していくようにしましょう。
味の方は、うどんが激アツなので、気を付けつつ、フーフーして食べて……。
ダシが効いてて、メチャクチャ美味い!!
もっとも、あれだけダシを入れたり、下味を付けたりしているのだから、ダシが効いているのも当たり前なんですが、そのダシが、「プルプルの卵」として固形化して口に入るので、メチャクチャ美味いんですよ。
当然、うどんもいつまで経っても冷めないくらい美味しくて、旦那も大絶賛。
小田巻蒸しは身体が温まって相当美味しいので、普通のうどんに飽きたときに食べてみてください!!
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