もはやこの食レポは「カテゴリー=食レポ」ではなく、「カテゴリー=挑戦」とした方が良いのではないかと思うような、激闘でした。
そう。
クサヤ・臭豆腐・シュールストレミング等と並ぶ「臭いけど美味しい(らしい)珍味的美味」のドリアン。
ひよんなことからいただいたこのドリアンを食べてみたです。
ドリアンとは?
南国のマッドマックス怒りのデスロードみたいな食べ物。
ココナッツよりも凶悪なそのフォルムの中には「果物の王さま」と言われるほどの、栄養価の高い果実が入っています。
ただし、臭い。
TVなんかでシュールストレミングに次いでネタにされる程臭い。
しかし、その身は濃厚かつクリーミーで、虜のなった人は「嫁を売ってでも次が食べたくなる」と中毒症状を引き起こすほど美味しい物らしく、タイやベトナムなどの原産国では「食べ過ぎると死ぬよ」という、「へそを出して寝ると鬼にへそを取られるよ」的な、脅し文句を真しとやかに流して諫めるほどになっているそうです。
因みに、
果物の王さま
果物の女王様
等のゴージャスな二つ名があったりしますが、元は王さまが好んで食べる栄養価の高い食べ物だったので「王さまの果物」と呼ばれていたものが、いつしか「果物の王さま」と呼ばれるように……。
ドリアンゲットに至った経緯
ドリアン。
あまりの臭さに、飛行機やホテルなどでの持ち込みが禁止されていたりして、日本では滅多にお目にかかれることがありません。
しかもデパートなどで稀に売ってるのですが、1玉6000円位とお高く、日々犬と猫たちに搾取されている私には到底手が出るものではなかったのです。
ですが、「願えば叶う」というか「汝願えよ、されば叶えられん」というか「引き寄せの法則」というか……。
世界には「臭い食べ物」という物があり、その「臭い食べ物」を好んで食べる人種がいる。
私もそうです。
店で注文したら、私達以外のお客が全て退散するという事態を引き起こすクサヤを美味い美味いと食べることが出来る私は、以前より「ドリアン食ってみたい」と各所で言いふらしていたのです。
したらば、ドリアンを好んで食べている叔母夫婦が「あら、食べたいなら食べてみれば良いじゃない」とばかりに、ドリアンを送ってきてくれたのです!!
ドリアンの宅配は要注意!!
宅急便で送ってきてくれたドリアン。
新聞と袋とゴミ袋に包まれたそれは、5月の暑さで成熟し、厳重な梱包をなおもすり抜け、仄かに腐敗臭を漂わせて送られてきました。
その日は朝から買い出しと卓球練習があるため、営業所で受け取ったのですが
「果物って書いてますけど、大丈夫ですか?」
と、何度も受付の奥様に確認されるほど、なんか腐敗臭が出ていました。
「大丈夫です。すみません」と頭を下げ下げ、車に積むと、もう車内が腐敗臭まみれ……。
例えて言うなら、2~3日生ゴミを放置した三角コーナーの臭い。
不安になる。
不安になるが期待が出来る。
帰宅して早速開けてみると……。
2~3重に巻かれた新聞の中に2重にくるまれた袋。
そこまでしないとダメな食べ物なのか!!
と驚愕していたんですが、箱を開けた瞬間に、小バエが好みそうな臭いが玄関を覆い尽くし、もはやこの時点でバトル開始。
ですが、叔母に電話してみると
「ああ、それまだ熟しきっていないはずだから、どこかベランダとかに置いて成熟させて。未熟のドリアンは、ヤシの木のぱさぱさな部分みたいで食べられたものじゃないから」
とのこと。
食べられるようになるまで2~3日かかる……。
ドリアンの追熟の方法
既に割れたお尻の部分からは全力で三角コーナーの臭いを発しているドリアン。
それを再び箱に詰め、上から袋を被し、トレーニングルームの片隅に……。
ダメだ、部屋中がくせえ。
虫が寄ってくると心配し外に置きたがらない旦那でしたが、このままでは壁紙に匂いが移ると、叔母のおすすめのベランダに置くことに。
普段は灯油などを保管するための、頑丈な入れ物にいれロックをかける。
これでたぶん大丈夫なはず……。
なんというか、テロ兵器みたいな果物だな。
ドリアンの捌き方(開き方)
そして翌日。
ベランダに置いてあるはずのドリアンの臭いが、玄関にまで……。
これはもう、無理だろ。
というか、完熟してるだろ。
ベランダから玄関まで高低差2~3メートル。距離10メートル近くはあるんだよ。
これで、完熟でなかったら、完熟した際には町中がドリアン臭に包まれることになるよ。
というわけで、我々はドリアンをあけることに。
食べ方をかいた説明書的なものが入っていましたが、あんなマッドマックスの肩パットでできたような果物を裁断できる、ナタ的包丁なんか持ち合わせていないので、開いた押しし部分から無理矢理カチ割ることにしました。
開封した瞬間から「くさいくさいくさいくさい」と連発する私。
旦那はそれこそベトナムの田舎道にいそうなタンクトップと短パンという姿で、額に汗を浮かべている。
幸い風が強い日だったので、そのままベランダにタッパーとゴミ袋を持って、そのままメリメリと御開帳。
この黄色い部分が食べられる部分。
手の平くらいの大きさの、肝臓みたいななのが果肉。
というか、摘出する様子も、臓器移植用の臓器を取り出してるみたいで、匂いもビジュアルもグロイ路線を突き進んでいます。
流石王様の果物……。
因みに果肉は5つあり、房のように分かれておりました。
つまりこれを5回食べるという……
ドリアンの食べ方
さて、ベランダで果肉を摘出するのに30分。
これから、実食と行きますが、この時点で鼻がバカになり臭いが分からなくなってしまいました。
もはや、「あ、濃厚なマンゴーが腐っちゃった?」「いやこれは、高級メロンが腐った匂いだよ」と協議し合うが、どちらにしろすえた匂いだということで話は落ち着きました。
とりあえず出した果肉は1房。
残りは冷凍したのですが、なんとドリアン。
冷凍したら臭いが変わったんです……。
それは後で記載しています。。
果肉は柔らかく、バターのように手にくっつくほど。
一部少し形がしっかりしている部分もあるので、包丁で切りつつ中の様子を見る。
中には大きな種。
アボカドもそうですが、南国の果物の種の自己主張はすごいね。
ドリアンの感想
というわけで食べた感想。
においは……
ドリアン全体は生ごみ。
エアコンがなかった時代の、夏場の三角コーナーの匂いです。
そして果肉は改めて嗅いでみると、濃厚なマンゴー。
ただし、3日くらい炎天下で放置した感じ。
若しくは、高級メロンを成熟させ過ぎて、「これ、もう駄目だね」なんて言っているときの匂い。
ただし、強烈。
不思議なのは口に入れると嗅覚が慣れるのか、匂いが全く気にならなくなること……。
味は……
触感はバターとバナナを合わせたような、ねっとりとした感触。
あと、すごく甘い。
超濃厚なマンゴーを食べているような感覚になるので、もしかしたらマンゴーといとこ同士とかなのかもしれないと思わせてくれます。
確かに、はまる人ははまるでしょう。
現に旦那ははまったようで、「うん……イケル……イケルじゃんこれ!!」と興奮した様子でパクパクとドリアンを食していきます。
私は、匂いのせいで警戒していたためか「あ、意外にいける!!」と普通に食することに錯覚を覚え、おいしいと脳が判断。
食べると匂いがわからなかくなったとありますが互いの口臭や、ゲップをすると、自動的に眉間にしわが寄るので、たぶん第三者がいたら吐くほど臭いと思います……。
ドリアンを食べたら1~2日は彼氏彼女等、大切な人と会うのは避けておきましょう。
あと、身近な人に味見をしてもらった感想は「おいしい」「意外と臭いが気にならない」とのことだったので、匂いだけだとNGという場合も、ちゃんと果肉を味わうと美味いということがわかりました。
ドリアンの保存方法
さて、5房もあった果肉。
いくら人をお呼びして食べても食べきれるわけもなく。
そんなときは、「サランラップにぐるぐる巻きにして、ジップロックを二重にしてしっかり口をしめて、冷凍」しましょう。
ドリアンは大変傷みやすく、ただでさえ腐った匂いが出ているのに、それが腐ったらたぶん通報されます。
だけど、冷凍保存しておけば、匂いも抑えられて一石二鳥。
ちなみに、ドリアンは冷凍すると匂いが変わり、「生ごみ」⇒「都市ガス」の匂いに変わります。
私は新鮮な時の方が味が甘すぎず好きだったので、人それぞれですが、匂いが気になる人は一度冷凍させたものを、シャーベットのようにして食べるといいでしょう。
あと、生ごみと都市ガス、どちらがいいかと言われたら、私の本能が生ごみを選んでました。
後日談
余談ですが、ドリアンを食べた際の後かたずけはしっかりやっておきましょう。
臭い除去に躍起になったにもかかわらず、どこからか、小ギプリが侵入して、一家騒然となりました。
さあ、あなたもレッツトライ!!
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